日本の子育て事情

岐阜4歳の娘を叩き逮捕されたのは小学校の教諭。世論の反応は?体罰止国の現状も紹介

2023年9月16日の午後8時半ごろ、岐阜県岐阜市に住む小学校教諭の父親(33歳)が自宅付近の駐車場で4歳の娘の顔を平手でたたくなどの暴行を加えた疑いで、17日に親族が警察に相談し逮捕されました。

このニュース記事には、教壇に立つ教諭の父親が子どもに暴行を加えた動機について書かれていませんでしたが、なぜ、平手打ちをするに至ったのか?どんな背景があったのかが気になります。

2020年の4月に改正された「児童福祉法」「児童虐待防止法」により、しつけでも体罰を加えてはならないと初めて体罰の禁止が明記されました。

“叩いたら逮捕される”という法律ではなく、常習的に暴力をふるい虐待につながる悲劇が過去にあったため「虐待をしない社会づくりを目指す」ために試行されました。

しつけや家庭教育の一環で子供を「軽くたたく」「正座させる」「食事を抜きにする」こともすべて体罰とみなされますが、今回はどのような背景で逮捕にいたったのでしょうか?

このニュースの概要や、改正された法律の詳細、世界の体罰禁止政策についてもまとめてみました。

岐阜の小学校教師が4歳の娘を叩き逮捕!事件の概要とは?

4歳の娘の顔を殴るなどしたとして岐阜市に住む小学校の教師の男が逮捕されました。

暴行の疑いで逮捕されたのは、岐阜市内に住む33歳の小学校教師の男です。

警察によりますと、男(33)は、16日午後8時半ごろ自宅近くの駐車場で、4歳の娘の顔を平手で殴るなどの暴行を加えた疑いが持たれています。

娘にけがはありませんでした。

17日、親族が警察に相談したことから事件が発覚しました。

調べに対し、容疑を認めているということです。

警察は、動機やこれまでにも暴行がなかったかなど調べています。

名古屋TV(メーテレ)

現在まで、父親がどこの小学校の教諭で、どのような経緯があって暴力をふるったかは分かっていません。

詳細が分かり次第、追記します。

今回の事件の世論の声と反応

今回のニュースを見た人たちのさまざまな声がありました。

「小学校の教諭がけしからん」という声もありましたが、子どもを叩いて逮捕されるとは・・という声も多くありました。

「平手打ちで逮捕とは・・」

「この父親は失職するの?」

「しつけで叩いても逮捕?」


「普段から、平手でたたくのが日常化していたのでは?」

「外でいう事聞かない子を叩く親をよく見たことがあるけど・・」


「親に叩かれて育ったから、叩かずにどうやって育児をすればいいか分からない」

「昔、竹刀で先生からしょっちゅう叩かれてたけど、今なら逮捕だね」

親族が警察に相談したことで逮捕となりましたが、常習的な虐待だった可能性が高かったのか関心が集まっています。

2020年4月から親の体罰は法律で禁止

日本は2020年4月1日に、全世界で59番目に体罰全面禁止国となり、親権者等による体罰の禁止が試行され子どもの安全と福祉を向上させるために重要な変更がありました。

《児童虐待の防止等に関する法律第14条第1項》
児童の親権を行う者は、児童のしつけに際して、体罰を加えることその他民法第820条の規定による監護及び教育に必要な範囲を超える行為により当該児童を懲戒してはならず、当該児童の親権の適切な行使に配慮しなければならない。

「児童」の年齢は、0歳から18歳未満の子どものこと。

過去のデーターでは、親の約7割ほどが「子どもを叩いたことがある」と回答していましたが、この法律改正後にどのような現状になっているのかははっきり分かっていないので、気になりますね。

「悪いことをしたら叩いてもいい」と体罰をすることで、子供の認知能力や自尊心は低くなるだけでなく、児童虐待にエスカレートする悪循環にはまっていきます。

今回のニュースで事件が父親からの常習的な虐待が原因で逮捕されたのであれば、子どものメンタルや身体状況も心配です。

体罰とは?具体例

法律改正は、過去の事例となった虐待による子どもの死亡事件が社会的な注目を浴び、議論の焦点となりました。

この法律改正の中心的な要素の一つは、家庭教育における「しつけ」における「体罰」の禁止です。

体罰は、子供に対して身体的な苦痛や苦しい状況を与えることを含みます。
これには、叩かれる、蹴られる、引っ張られるなど、身体的な力が使われることが含まれます。

体罰は身体的な傷害や子どもの心理的健康にも悪影響を及ぼすことがあります。

<体罰の具体例>

  • 「次に注意したときに叩くよ」と伝えて、また同じことをしたので頬を叩いた。
  • 買い物にでかけたときに危ない事をしたので、その夜に食事を与えなかった。
  •  兄弟げんかで下の子にケガをさせた上の子を叩いた。
  •  泣いてぐずり言うことを聞かないので、お尻を叩いた。
  •  ご飯をきちんと食べないので、強引に口に押し込み食べさせ叩いた。

相談窓口

保護者が孤立せずに子育ての課題に向き合う支援を受けたり、子どもが親から体罰をうけている場合も相談する窓口があるので、1人で悩まず専門家に話をしてみてください。

子どもや親を救うきっかけになるかもしれません。

児童相談所

①児童相談所電話番号は189>いちはやく(無料通話)
すべての子供が心身ともに健やかに育ち、その持てる力を最大限に発揮できるように家族等を援助する専門の相談窓口です。

189に電話をかけると、近くの児童相談所につながり児童福祉司・児童心理司・医師・保健師などの専門スタッフが対応します。

原則18歳未満の子供に関する相談や通告について、子供本人・家族・学校の先生・地域の方々誰でも相談できる窓口です。

▼各地域の児童相談所の電話番号はこちらから▼

児童相談所一覧(有料通話)

子どもの人権110

②子どもの人権110<0120-007-110>
あさ8時30分から夕方ゆうがた5時15分まで(月曜げつよう日から金曜きんよう日まで)

フリーダイヤル(無料)が繋がらない場合は、以下の地域ごとの電話番号(有料)へ。
各局市外局番(有料)

24時間SOSダイヤル

③24時間SOSダイヤル<0120-0-78310>(なやみいおう)
子供や保護者などが夜間・休日を含めて24時間いつでも相談可能。

子どもを叩くさまざまな理由

児童を叩く親の心理にはさまざまな要因が影響します。

  1. ストレスとイライラ: 日常生活でのストレスやイライラを感じることがあり、その感情が子供に向かって発散されることがあります。
  2. 教育と文化: 育った環境や文化が大きく影響されている場合があります。
    過去の一部の文化や家庭環境では、体罰が受け入れられており、親はそれを正当な教育手段と考えてしまっていることもあります。
  3. 過去の経験: 親の自身の子供時代の経験が影響を与えることがあります。
    虐待を受けたり、体罰を受けた経験がある親は、同じパターンを繰り返すことがある可能性あります。
  4. 情報不足: 適切な育児スキルや代替の育児方法についての情報が不足していることがあり、体罰を避ける方法を周知する必要があります。
  5. 親の制御欲: 子供の行動を完全にコントロールしようと体罰を使用することがあります。
  6. 教育目的: 子供に何かを教えるためだと信じて体罰を行うことがあります。
    彼らは子供に規範を示す義務があると信じて間違った行動をしてしまうことがあります。

スウェーデンの体罰禁止

1979年に世界最初に体罰禁止法を導入したスウェーデンでは、日常的に叩かれていた子供たちが、2000年代には数%に減少しています。

スウェーデンの政策や30年間のあゆみはこちらからお読みいただけます。

「どうすれば叩かずに子育てができるのでしょう?」

暴力を使わない育児というのは、子どものやりたい放題にさせることでは
ありません。子どもにとって、親の支えと指導は欠かせないものです。独立し
た個人になるためには、自由と限度の両方が必要なのです。

体罰を廃止したスェーデン30年のあゆみ

スコットランドではどんな体罰も犯罪行為

2020年11月7日に英国北部のスコットランドでは、親・保護者等による子どもへの体罰を全面的に禁止する法律が、施行されました。

16歳未満の子供たちを大人同様に暴力から保護するため、「親によるどんな体罰も犯罪行為として禁じる」という内容です。

これにより、スコットランドは英国(グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国)内でこの行為が全面禁止された初のカントリーとなった。

以前までは、保護者達が子どもにしつけの一環として体罰をすることは認められていましたが、法案が成立後は、子供を叩く「平手打ち=スマッキング(smacking)」と呼ばれる体罰が犯罪行為とみなされるようになりました。

アメリカ

アメリカでは、自分の愛する子供に対してたとえふざけてでも叩くことは許されません。
暴力を厳しく禁じている国なので、もし目撃されることがあれば、警察に通報されます。

しつけの一環として体罰を加えるという概念がないため、もし子供が家庭での体罰や虐待を受けているのでは?と学校の教諭が察した場合は、すみやかに通報をしなければその教師が処罰を受けることになります。

放置は虐待

アメリカでは、子供を部屋に残して外出することも違法です。

州や地域によって法律も異なりますが、一般的には子供の安全と福祉を守るために法律があります。

子供の自己保護能力や判断力は年齢によって大きく異なりますが、法律では一般的には、10歳を基準にしている場合が見られます。

特にアメリカに旅行に行く時は、特に注意が必要でどこに行く時も子供を部屋に1人放置せずにつれていく必要があります。

子どもが緊急時に対処できる判断力や能力があるのか?という基準をもとに、保護者は子どもを守る義務があると定義されているのです。

 

韓国

韓国は、2021年3月に世界61番目の体罰禁止国家になりました。

児童福祉法は、子どもの身体的、情緒的、正常な発達に害を及ぼす全ての行為を児童虐待と規定しています。

韓国保健社会研究院の報告書(2018年)によると、保護者の10人のうち4人は子育てのしつけにおいて、体罰は必要と考えているというデーターもあります。

10件中8件は、家庭で起こる児童虐待。

各市では、児童虐待を防止するキャンペーンを実施していますが、家庭内の育児環境もさまざまなため、情報やサポートが行き届いていないため高い関心と、親そして子供を孤立させない対策が必要です。