韓国の子育て・教育

【韓国の幼児教育】実際に通った韓国の保育園と幼稚園のレビュー


韓国在住のここまるです。

今回は、韓国の幼児教育の特徴をもとに、うちの子が通った保育園と幼稚園の体験レビューを紹介していきます。

「韓国の幼児教育って日本とはどんな風に違うの?」

と意外と韓国の幼児教育について知らない方も多いかと思います。

日本でも幼児教育について様々な議論が交わされていますが、保育園や幼稚園は子どもが生まれて最初に教育を受ける一番大切な場所ですよね。

義務教育は日本と同様に小学校から始まります。

でも、ほとんどの子どもたちは小学校入学の前に保育園や幼稚園に通うため「保育園や幼稚園から教育が始まる」と考える方も多いはずです。

そのため教育熱心な韓国では保育園や幼稚園選びに親たちの関心はとても高いこともあり、韓国の幼児教育はかなり充実しています。

どんな点が充実しているか、うちの子が実際に通った体験レビューを交えて紹介していきたいと思います。



2歳から通った韓国の保育園レビュー

海外ですべてが初めての子育ては、分からないことばかりで不安と焦りそして孤独がつきものでした。

パパは仕事で毎晩遅いし、赤ちゃんの面倒もずっと一人でやってきてたので、自分のペースで過ごすのは不可能で、頼る人もいなければ息詰まることが多かったです。

赤ちゃんの成長は感動、感激で嬉しいこともたくさんあるけど、新しい心配や悩みも次々出てきて自分を見失いそうになったときに、

「初めての子育てなんだから息詰まるのは当たり前だよ。」

と言ってもいい雰囲気が韓国にありました。

街のあちこちに保育園があったので、数時間だけでも預けられるというありがたい社会の手が私を救ってくれました。

命の誕生は、この世で何よりもすばらしいことで子育ては幸せにあふれ楽しいはずなのに、なにもかも初めての子育ては、一人ではできません。

「ちょっとでも一人になれる時間を取った方がいいですよ。」

「気分転換をして!」

と、体を休めほっと息つける時間を持てるこの社会環境の雰囲気に助けられました。

「子どもを保育園に預けていいの?!」

とすがるように保育園のドアをたたいたあの日を今も鮮明に覚えています。

小学校入学前まで同じ保育園に

うちの上の子は送り迎えつきの大規模の保育園に通いました。

「保育園って赤ちゃんが通う場所でしょ?」

「保育園って教育をちゃんとするの?」

幼稚園に通う時期になっても、なんの疑問も持たずうちの子は小学校入学前まで保育園に通いました。

その保育園は4階建てで一番上に園長先生ファミリーの住居がある幼稚園規模の大きな国公型の保育園でした。

当時はとても人気がある保育園だったこともあり、

満2歳のクラスが1クラス、

満3歳のクラスが1クラス、

4歳のクラスが3クラス、

年少(5歳)3クラス、

年中(6歳)3クラス、

年長(7歳)3クラスありました。

保育園の横には市で運営されている大きな公園がありましたが、私有地のように子供たちは毎日利用して遊んでいました。

保育園の横になる大きな公園が自由に使えてなかったら・・・
あの保育園の充実度は変わっていたと思うほど子供たちはのびのびと遊べていました。

保育園のプログラム

保育園でも年少になると外部の専門講師が来て「音楽」、「体育」、「美術」、「英語」を学び5感を使って沢山の体験をしました。

自由時間も外で遊ぶ時間もたっぷりあるので、朝8時半のバスで保育園に行き、夕方4時半のバスで戻ってくる毎日でした。

市の補助金のおかげで、送迎費、給食費、教材費もすべて含まれていたので、ほぼ無料で通えました。

また、家庭でも学べる知育玩具、楽器、絵本も定期的にもらえたので、家であれこれおもちゃを買わずにセーブできました。

知育玩具のプログラム

5歳になって追加プログラムの申請をして月3万5千ウォン(3500円)を払ってその当時に人気だったブロックの授業を受けました。

その授業は、外部の専門講師が来て行うもので、スイスの知育玩具(キディテック)を使って子供たちが遊ぶプログラムでした。

1か月ごとにこのブロックをもらえたので、1年もたつと、家に箱いっぱいになるほどのキディテックが増えていて、家でも夢中になって遊んでいました。

創意性を育てるいろいろな体験を保育園でしましたが、この知育玩具は小5まで捨てずに遊ぶほど大好きなものでした。

保育園で体験したバイオリン

うちの子の保育園では、年中と年長の2年間はバイオリンのプログラムが教育課程に組み込まれていました。

外部のバイオリン専攻の講師が、毎週保育園に来て、バイオリンを子供に教えていました。
そのため、2年間バイオリンの基礎を学び簡単な曲ではありますが、みんなで演奏できるレベルになりました。

私はバイオリンの経験もなく、私が子どものころピアノの先生に、「バイオリンはとても難しい楽器なんだよ。」と聞いていたので子どもにやらさせたいと思ったこともありませんでしたが、韓国の保育園や幼稚園ではバイオリンを教育プログラムに入れるところがおおいので、これも文化の差なのだなあと思いました。

盛大な卒業式

韓国の保育園、幼稚園の卒業式は盛大です。

卒業式は近くのコンサートホールを貸し切りで行いました。

プログラムの内容

各クラスごとにバイオリンの演奏

剣道の模範

ダンスパフォーマンス(K-pop)

衣装(有料)も3度変わり、かなり豪華な卒業式でした。

完璧な演技や演奏を聞き父兄からは拍手喝采で、子供たちは笑顔にあふれていました。

最後に保育園の園長の挨拶を聞き終わったときには見ている父兄よりも子ども同士で別れるのが寂しくて泣いているのを見て驚いたほどです。

卒業では卒業証書以外に、バイオリンをもらいました。

また、卒業式のパフォーマンスもDVDで収録してくれたので大切な思い出が見れるのもありがたいですね。

韓国の幼児教育の特徴

このように保育園も、幼稚園に負けないくらい教育に力を入れているのですが、韓国の幼児教育の特徴について簡単にお話しますね。

日本と韓国に共通する幼児教育の施設は大きく「保育園」と「幼稚園」で、保育園(オリニジップ어린집)と幼稚園(ユチウォン유치원)が存在するのは日本と同じですね。

保育園の管轄行政は「保健福祉部」

幼稚園の管轄行政は「教育部」

が行います。

基本的な考え方は日本と似ていますがここから違う点がたくさん出てきます

入学前の3年間は無償教育

満3歳(を迎える)~5歳までの幼児は、国や地方自治体が費用を負担することで無償で幼児教育を受けることができます。

支給される費用は以下の通りです。(2021年3月の時点)

国公立の教育施設に通う場合
基本の支給額6万ウォン(6000円)と、放課後授業の費用5万ウォン(5000円)が支給されます。

この費用に、教材費、給食費も含まれているため出費の負担がなく無償で幼児教育を受けられます。

放課後授業とは?

1時半ごろから始まる授業のことで、放課後授業の講師の管理のもと美術、体育、音楽(外部の講師が訪問)や様々なプログラム、外遊びをして過ごします。

放課後授業は選択制のため、選択せずに帰宅する子もいますが、共働き家庭が多いため放課後授業を申請をするご家庭が多いです。

放課後授業は基本は5時までなので子供たちは安心して幼稚園で過ごすことができます。

私立の保育園、幼稚園に通う場合
基本の支給額2万6千ウォン(2万6000円)と、放課後授業のプログラムの費用7万ウォン(7000円)が支給されます。

私立の場合は、施設によってカリキュラムの種類や追加の費用が異なるため随時確認が必要なんですが、2021年に入ってからインチョン、テグ、プサンなどでは無償給食が確定し私立の保育園や幼稚園に通う子供たちの給食費の負担も軽減されています。

無償給食の拡大により、幼児から高校生までの子育て世代の経済負担が実現されそうなので、助かります。

保育園、幼稚園の送迎バス

保育園そして幼稚園では、送迎バスの運行をしている施設が多いです。

韓国の街でたくさんの黄色いバスが走っているのを見たことがあるかもしれません。

韓国では保育園、幼稚園、塾、小、中、高校など幅広く送り迎えの運行バスを運行しているところがあります。

(送迎バスは地域、教育施設の規模や場所によって運行状況は異なるので随時確認が必要です。)

国公立の保育園や幼稚園についても、一般的に送迎バスがないところがほとんどですが、地域や父兄たちのニーズによってバスの運営をしているところもあります。

次では保育園、幼稚園ともに共通の教育「ヌリ課程」についてご紹介いたします。

どのようなヌリ課程とは、どんな教育なのか見ていきましょう。

教育大国の本気!幼保一体型カリキュラム「ヌリ課程」

韓国の教育熱心は親が発端になっているような印象がありますが、教育大国の韓国では国家が教育の柱を支えています。

ヌリ課程の導入によって2012年度は満5歳児のみ、2013年度以降は満3~5歳児(韓国の年で5歳~7歳)と対象が広がり2019年には一部教育内容が改定されています。

実質的に保育園や幼稚園で教育革命と言えるべく共通の教育「ヌリ課程」が導入された理由は、すべての子どもが平等に学ぶ機会を持てるようにという教育施策によって始まりました。

このヌリ教育を一言で言うと・・・

「子ども中心の教育、遊び中心の教育」です。

ヌリ課程では5つの領域をバランスよく連携させます。

その5つとは、

・健康(身体運動)

・自然探求

・芸術経験

・社会の人間関係

・意思疎通

です。

5つの要素が含まれたヌリ課程が1日の中にバランスよく組み込みこまれられ、遊びを中心により個々がより自由な発想で学べるように教育環境が整えられています。

ヌリ課程とは、自分の存在を大切にすることを基本に社会の一員として協調性やコミュニケーションの大切さを強調する内容が組み込まれた教育課程の事です。

強く推し進める背景には、「子どもたちの幸せな成長に向けて、ともに行動する社会を目指す」というビジョンがあります。

このような幼児教育の延長線上にある​小、中、高校でも教科書中心にヌリ課程は連携され、生きる力、未来を築ける人材を育てていきます。

国の未来に必要な人材として、子供たちの教育を考えるのは日本も韓国も同じようです。

日本と違う?韓国の保育園

夫婦の共働きの増加により保育園の需要が増え、国の支援も充実し地域ごとに保育施設が十分にあります。

日本のように乳児が保育園に入るための基準となる点数計算で悩んだり、細かい基準などありません。

また共働きでなくても、自由に気軽に申請をして幼児を預けられる雰囲気です。

街の郊外や地方の過疎化が進む地域では、子どもの預け入れ施設が少ないですが、子どもが多く住む地域には、集合住宅が多いこともあり、大小さまざまな保育園があり、子どもを預けやすく育てやすい環境が整っています。

保育園によって受け入れ対象年齢がさまざまなので事前の確認が必要です。

今年、ソウルでは全国の中でも国公立の保育園の数が一番多く増やすと目標を掲げ子育て世帯をサポートする環境づくりに力を入れています。

保育園の種類

韓国にはさまざまな種類の保育園がありますが国公立(国、自治体が運営する保育施設)と国公型、民間の保育園に分かれます。

①国公立は、国や自治体が設立、運営する保育施設。

②国公型は、国が運用費を支援し良質の保育施設に指定された民間の保育施設。

③民間の保育施設については、以下の通りさまざまなタイプがあります。

民間の保育施設

家庭型の小規模の保育園
集合住宅の1室または、集合住宅街の中の商業施設やコミュニティー内の施設

幼稚園規模の大型の保育園
送り迎えのバスが運行され、保育園ごとに特別プログラムがある規模の大きい保育施設。

企業内の保育施設
企業が従業員が就業中に預けられる保育所

保育園の教育プログラム

保育園は幼稚園と比べると「教育の場」と言うよりも「預ける」「保護する」という概念が強いです。

保育園は体調管理、安全を最優先し管理をしますが韓国の保育園では保育しながら教育にも力を入れているところが多いのが特徴です。(自然体験、モンテソリー、英語など)

また、満3歳以降は幼保共通の「ヌリ課程」の教育を受けます。

しいて幼稚園と保育園の大きな違いと言えば・・・
保育園の先生は幼児教育の資格がなく保育教師の資格しかないという点です。

日本と違う?韓国の幼稚園

韓国の幼稚園は、国公立と民間に分かれますが、国公立の幼稚園と民間の幼稚園をみて、明らかに違う点があります。

<国公立の幼稚園>
先生方は公務員なので民間の幼稚園の先生と比べると年配の先生も多く、見た目の雰囲気も違います。

手厚いサービスや親とのやりとり連絡もほとんどありません。

<民間の幼稚園>
各幼稚園ごとに特徴がありプログラムが多様。
英語、モンテソリー、水泳、楽器、表現力を育てる特別活動の種類が多様。

先生たちのサポートも手厚く、様々な行事があります。

民間の保育園・幼稚園の英語教育

民間の幼保施設では英語教育を取り入れているところが多いです。

なぜなら英語プログラムを取り入れたほうが人気があるからです。

小学校に上がる前に英語の発音と文字の関係を音声(フォニックス)を学び英語の基礎土台を作ってしまいます。

歌やチャンツを使って英語の音に慣れさせる環境づくりを幼稚園がきちんとしてくれると、小学生に入ってからの英語の習得がスムーズだと考えるため英語プログラムが充実する幼稚園はとても多く人気です。

韓国の小学生の英語教育について興味がある方はこちらも見てくださいね。
日本と全く違う韓国の小学生向け英語塾

韓国の幼児教育の質はコスパ以上なのは間違いないです。

最後に

今回は【韓国の幼児教育】日本の保育園と幼稚園との違いと韓国の幼児教育の特徴について紹介をしました。

教育熱心な韓国の幼児教育は個性豊かな保育園、幼稚園がしっかり支えています。

韓国の幼児教育を一言で言うなら・・・

「子供たちの感性をバランスよく育て父兄と連携をしながら一緒に子育てを応援してくれる」存在です。

今回の記事では書きませんでしたが、韓国では保育園、幼稚園ともにCCTVの設置が強化されているので「乳幼児の虐待の防止」、「問題の早期発見」がされやすいです。

このCCTVの設置に関しては、長所、短所がありますが今までの教訓を生かし同じ悲劇が繰り返されないためにもやむをえない方法です。

また家庭環境、家庭教育も多様化され先生たちも、たくさんの苦労を抱えています。

乳児、幼児が集まる保育園、幼稚園には問題や課題が尽きませんが社会の関心で一つずつ改善できると信じています。

なぜなら「さまざまな問題の原因がどこにあるのか。」を考えるといろいろな社会問題の根本には共通する問題があるからです。

韓国の子育て環境が良くなってきているのは、親たちの声が反映され社会が政策を導入した結果なのだと思います。

世界一位の少子化韓国では、たくさんある幼稚園や、保育園の定員割れが起こり始めていますし、若者は就職先もなく結婚どころではないのですが、社会問題はみんなの関心で解決していけるのではないのでしょうか。

これから生まれる赤ちゃんたちが今よりもさらにいい環境で育ち、ママやパパもたくさん社会のサポートを借りて子育てを楽しんでもらえるようになったらいいなあと思います。

ひーりんぐまっぷが、みなさんの視野を広げるヒントになれば嬉しいです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。