韓国の子育て・教育

ソウル瑞草(ソチョ)小学校教師の自殺と最近の暴力事件~何が起きているのか知りたい

7月18日に韓国ソウル瑞草区(ソチョク서초구)にある瑞草小学校の女性教師(20代前半)が校内で自殺し、遺体で発見されるという悲しい出来事がありました。

小学校1年生の担任だった新人教師が、学生同士の暴力や保護者からの圧力に悩んでいたという証言があり「学校でのトラブルが原因なのでは?」と疑惑が上がっていますが、警察や学校は、遺書も見つからないため確認できる証拠がないと否定しています。

昨今、生徒同士の暴力事件、生徒が教師を殴る事件が多発する韓国の小学校で一体に何が起きているのでしょうか。

相次ぐ韓国の小学校で起きる学生同士の暴力事件

生徒が教師を暴行しけがを負わせる事件をニュースや動画でよく見ますが、これは氷山の一角。

今、教師たちは新人教師の死を悲しむとともに「学校で何が起きていたのか事実を究明してほしい」「いつ自分が同じことが起きてもおかしくない」「どんなに辛かっただろうか・・」「私も似たような被害にあった」と怒りが隠せない状況です。

瑞草区は、ソウル市の副都心として知られる江南に位置し富裕層が住む地域としても知られている小学校です。

その瑞草小学校に勤務2年目の新人教師の遺体が、18日の朝に学生たちが登校する前に校内で発見されました。

ソウル教師労働組合は「情報提供によると、先週故人が担任をしていた学級で児童同士による暴力事案が発生。学生Aが学生Bの額を鉛筆でひっかき、Bの保護者が教務室にやってきて『教師の資格がない』と言って強く抗議した」と発表。

保護者から何十回も電話が来ていたという証言も。

新人教師が「今年が去年よりも10倍辛い」と同僚たちに嘆いていたことも判明しています。

この学生同士の暴力事案を「ヨンピル(연필鉛筆)事件」と呼び韓国中で論議が過熱していますが、遺書があったわけでもなく学校の暴力問題や、父兄たちとの確執が原因で教師の自殺を引き起こしたかどうか関連性の確認ができていません。

そのため、新人教師の自殺の原因は、学校とは関係がないという主張です。

日記が発見された

今回、故人の日記が発見され、ストレスに悩み精神科に通い治療を受けていた内容が書かれていた。

2月にも自殺をほのめかす文章があったと言うが、特定の苦情に悩んでいたという内容は見つかっていません。

教師が父兄や学生から受ける被害

コロナ禍で学校へ登校しなかった時期がすぎた後から、教師が学生や父兄から暴言をうける事例が増加傾向です。

教師の権利を侵害されたと申告された件数は、2021年には約2200件、2022年には3000件を超え報告されています。

児童・生徒そしてその保護者から暴行を受けたケースが2022年に361件ありました。

教育部によると、教師が治癒センターを利用するケースも去年だけで全国6万件に上ると発表。

教育現場で教権侵害を被りストレスを感じる多いことも分かります。

先日も、ある教師が学生からの暴言や暴力で怪我やPTSD診断を受けたとニュースで話題になりましたが、暴言を吐く学生に「なぜ暴言を吐くのか?」聞くと、加害者の学生が「殴ろうか?」とハサミや鏡を投げて女性教師にけがをさせる事態に。

それなのに親からは、謝罪の一言もないということです。

家庭環境もさまざまなので、学校では想像以上にいろいろなことが起きています。

学生同士の暴力も深刻ですが、学生が教師を怪我させる事例が多発している理由は、行動障害や精神的な問題を抱えている場合もあれば、家庭環境やテレビやインターネットなどのメディアの露出により、暴力的な行動を取る可能性もあります。

社会の取り巻く環境も劇的に変化をしている今、学校と地域社会が連携して学生の成長と発展をサポートし、学生の人権、教師の権利を保ち教育機関や政府は改善に積極的に取り組んでほしいです。

教師が小学3年生から暴行を受ける

6月に釜山のある小学校で3年生が授業中に教師に暴力をふるう事件がありました。

授業中に、教師が学生に同じ行動を繰り返すため注意をしたのですが、いう事を聞かなかったので、そばに近づくと一瞬にして数十回の暴行をうけそばにいた学生たちが他の先生を呼び事態を収めました。

その教師は胸骨を骨折し、3週間の診断を受けました。

教師が6年生から暴行を受ける

ソウルのある小学校で、6年生の学生が教師に暴力をふるい全治3週間のけがを負わせたことで、教師たち1800人が「教権侵害」を訴え嘆願書を提出しました。

過去にもこの学生は、教師に暴行を加えていた経歴があります。

教師が児童虐待をしたと訴えられるケース

A教師は英語の時間に宿題をしてこなかった生徒を叱ったところ、抗議を受けた。生徒は「できないと言ったのにどうしてそう言うのか。そのように教えろと習ったか」と反発した。教師は興奮した生徒を教室の外に連れていって落ち着かせ、保護者に電話をかけて下校を提案した。しかし保護者は教師が授業を受けさせなかったとして教育庁に通告した。

中央日報
https://japanese.joins.com/JArticle/304743?servcode=400&sectcode=400

光州(クァンジュ)の小学校のB教師は女子児童にセクハラ性の暴言を吐いた男子児童に「性暴力は恐ろしい犯罪」と言い聞かせた。すると男子児童の保護者が息子を潜在的な性犯罪者として扱ったとして担任教師の交代と公開謝罪文を要求した。学生人権条例違反として教育庁にも通告した。

中央日報
https://japanese.joins.com/JArticle/304743?servcode=400&sectcode=400

学生人権条例の施行

2010年に京畿道教育庁で初めて制定された学生人権条例。

現在、ソウルをはじめとする6つの教育庁で制定され施行されています。

学生が暴力や危険から守られる権利が主な内容で、性別・宗教・家族形態・性別、アイデンティティ・性的志向を理由に差別しないことが主張されています。

学生を安全から守る法律であるはずが、教師が学生に教育指導をするだけで「私生活の自由を侵害した」「児童虐待」と権利を主張し、訴えられる事例もあるため事実上、教育現場で教師たちの教育権さえないという声が多いです。

教師の人権を守る条例がないことも今回、議論になっています。

現在まで、生徒を叱りつけたこと教師を不当に思う保護者が「うちの子を教師が虐待をした」と告訴すれば、その教師はたちまち弱い立場に追い込まれてしまうため事実上、教師は教育・指導する権利を持てていないのが現状のようです。

最後に

今回の事件が起きたことで、父兄たちの間でもさまざまなことが議論されています。

韓国の小学校に子供を通わせる一父兄として、私も普段からさまざまな学校事情を耳にすることがありますが、家庭環境がさまざまなので同じ事実を見ても、父兄の受け取り方や反応は違うと感じます。

宿題をやってこない生徒を残して指導する先生をみて、

「ありがたい」と感じる父兄もいれば、

「余計なことをして。塾におくれるからやめてほしい」と怒る父兄もいます。

日本の小学校に比べて学生の自由度が高い韓国では、学生の人権が守られているという、いい面もありますが、実は学校内ではさまざまな事件が起きていて問題が絡み合っている状態です。

また、暴力や暴言をふるう学生のケアが不十分なので、今後課題になってくるのではないかと思います。

私の子どものクラスでも、突然怒りだしたり暴言を吐く学生がいました。
授業中に椅子を並べて寝たり、発表する学生の発言が気に入らないと大声で暴言を吐き他の生徒たちに不安を仰ぐことがありました。

その学生は、窓を見ていたかと思ったら、突然校庭にでて1人サッカーをしに行くなど情緒不安定でしたが、何度注意しても改善されず。

結局は、担任も学校側も効果のでる対策を出せず。

本音を言うと、情緒不安定な学生が1日でも早く、治療やケアを積極的にうけていたら今後起こりうる問題も防げるのではないかと感じました。

結局その1年間は、クラスの雰囲気も暗くまとまらず、ただ大きな事件が起きないのを祈り進級するを待って過ごしました。