韓国在住のここまるです。
8月の下旬から韓国の公立小学校では2学期が始まりました。
短い夏休みもあっという間に終わり、最近は特に秋風が気持ちが良く快適な朝夕です。
1年の中で韓国の秋は、最も過ごしやすく自然の景色も素晴らしいので、韓国旅行に来るなら、秋の旅をおすすめしたいです。
今回は、韓国の小学生の夏休みについてご紹介します。
「韓国の小学生って宿題があるの?」
「具体的にどんな宿題があるの?」
韓国の小学生にも夏休みの宿題がありますが、日本とはちょっと異なります。
そこで、「韓国の小学生の夏休みの宿題」や難易度が上がる小6の数学の学習について体験レビューをふまえて紹介します。
- 韓国の小学生の夏休みの宿題
- 夏休みは数学の復習で基礎固め
- 夏休みの数学の復習体験レビュー
- 学習効果を高める方法
- ヨンジェウォンに入るには
Contents
韓国の小学生の夏休みの宿題
韓国の小学生の宿題は自由な課題が多く負担が軽いのが特徴です。
大人の力を借りないとできない図工や、難しい宿題はありません。
韓国の公立小学校では、クラスごとに無理のない宿題がでるのが一般的です。
例えば、クラス全体の宿題が1つと、それ以外に宿題リストに書かれたものから、好きなものを1つ選択します。
例えば・・・
<①クラス全体の課題>
担任の先生が、クラスみんなに一つに課題を出します。
- 楽譜を見ながら動画に合わせて笛の練習
<②宿題リスト>
自由に、下記のリストから1つ~2つ選択する。
- 本を3冊読んで、関連した絵や感想文を書く
- 本屋で買った教材(計算問題など)を1冊終わらす
- 1学期に習った楽器の練習をする
- 画用紙に自分が描きたい絵を書いてくる
- 不要になったものを活用し物を作る
- 旅行や体験学習の感想文を書く
- 家族でおやつ作り
- 家のお手伝いをする
- 上記以外のことでも可
いい点は・・・
自分で宿題を選択できるため、親が子供の宿題で頭を抱えることは少ないです。
2学期になると夏休みの宿題を提出しますが基準もゆるく、子供・親ともに宿題の負担があまりないのが韓国の夏休みの宿題の特徴です。
うちの子の夏休みの宿題(小6)
今年の夏休みのクラスの宿題は、英単語100個の暗記でした。
ユーチューブには、英単語の動画がたくさんあるのですがその中に小6~中学校で学ぶ英単語がまとめたサイトがあって、それを聞いて覚えていました。
<自然、職業、家の名所、親戚や人の呼び方の英単語100個>
プリントを配られたわけでもなく提出物もなくただ、ユーチューブをみて目の耳で単語の音を聞き単語を目で見ながら習得します。
2学期にすぐテストをするので、下記の一例の単語を英語で書けて、韓国語で意味を言えるようにするのですが、ほとんどの時間は書かずにフラッシュカードのように見ながら、耳で聞いて覚えていました。
覚えた単語の一例として・・・
自然に関する単語
STEAM,FIELD,MOUNTAIN,GRASS,SPACE
RIVER,WEATHER,DARKNESS,SHADOW
職業の名前
INVENTOR,PRESIDENT,DENTIST,PHYSICIAN,NURSE,
ARCHITECT,SCIENTIST,TECHNICIAN,ENGINEER,
MINISTER,PRIEST,COMPOSER,MUSICIAN,LAWYER,
親戚や人の呼び方
NEPHEW, TWIN,GUEST,CUSTOMER,UNCLE,NEIGHBOR,
VISITOR,THIEF,ASTRONAUT,SOLDIER,BAKER,HAIRDRESSER,
WRITER,PHARMACIST,FISHERMAN,ACCOUNTANT,LAWYER,
英語の単語は一度に覚えられないので、夏休みの後半になって「宿題だからやらないと!」という思いで、あせって動画を見て口ずさんでいました。
ユーチューブの動画で、ラップに合わせて英単語と韓国語を見ながら聞いていましたがリズムに乗せてしゃべるように単語が出てくるので自然と楽に覚えていました。
私が英語の単語を暗記していた時代は紙が真っ黒になるまで書いて覚えていましたが、今の子は動画を見ながらリズムに乗せて書かなくても自然に単語を覚えてしまうんですね。
小学時代最後の夏休みを使って、できるだけたくさんの単語を覚えるのはとても効果的でいい宿題だと思いました。
夏休みは数学の復習で基礎固め
日本では小学5,6年生になると、算数の難易度が高くなりつまずきやすくついていけない子が増えると言われていますが、韓国でも同じような現象が起きています。
韓国でも、数学(수학スハク)についていけず放棄(ポキ포기)する学生たちを数学放棄者スポジャ수포자と呼びます。
このスポジャが近年低年齢化し、小学生が数学を放棄する子が急増していると言われています。
学校だけではなく夏休みになるとあちこちの数学塾では予習学習が始まるのですが、1学期の数学を理解していないまま2学期の先行学習が進むと、どこでつまずいたか見つけにくく後で苦労することになります。
そのため、塾に通っているからと言って安心はできません。
予習に入る前に、「今まで学習した内容がきちんと理解しているか?」を細かく確認することが大切です。
6年生の数学の内容
「中1の数学よりも5年生、6年生の数学の方が難しい」と塾の先生にもいわれるほど、数学の難易度が上がります。
具体的にどんな学習をするのか内容を見ていきましょう。
6年生の1学期
分数の割り算
立体図形(角柱)
少数割り算
比と比率
グラフ
直6面体(直方体)
6年生の2学期
分数の割り算
少数の割り算
空間と立体
比例式と比例配分
円の広さ
円柱・球
以下は問題の例です。
例1;少数の割り算の問題
針金8センチの正四角形が一つあります。
針金43.4センチで同じ大きさの正四角形が何個つくれますか?
また、あまりの針金は何センチですか?
例2;比例式と比例配分
一定の速さで2時間のあいだ300㎞進む汽車があります。
同じ速さで900㎞進むのにかかる時間は何時間ですか?
このような問題を解けるようになるには基礎概念をしっかり把握し、応用問題を解く力が必要になります。
うちの子の数学の復習レビュー
韓国では1学期の自宅でのオンライン授業で学習の理解度に差が広がり教育格差も深刻だと言われていましたが、うちの子の理解度の低さも他人事ではありませんでした。
夏休みに入る前に、1学期の数学の理解度をチェックすると基礎概念も理解していない部分が目立ち、応用問題ではいつも以上に間違いが多いことを発見しました。
そのため、グループ型で予習授業を受ける数学塾をやめ今年の夏は、復習に重点を置きましたが、その結果夏休みのほぼ80%は数学の復習で終わりました。
2学期の予習は、難易度が上がる社会、理科、数学を事前に進めました。
夏休みに自宅で復習をするのにとても役に立ったのは紙の教材だけでなく、タブレット学習も大活躍しました。
日本にもタブレットの教材がたくさんありますが、韓国でもタブレット学習は人気で学習管理がしやすく便利なんですよ。
数学の塾を変える
来年から中学生に上がることもあり、塾の雰囲気も本格的になってきます。
夏休みの数学の塾は基本が予習ですが6年生の場合は中学校の授業に本格的に入り始めます。
少人数制の4人グループのクラスであっても、うちの子どもの理解度に合わせてはくれません。
基礎概念の理解がしっかりされないまま進度が進むことや、早い速度で授業が進むので習得できずに分からない点が進みやすいのがグループの授業です。
そのため、悩んだ挙句通っていた塾をやめ個別の指導する塾に新たに通うことになりました。
個別学習型の塾に変えて良かった点
新しい塾では、6年生の友達は中1の1学期の授業をうけていましたが、うちの子は個別学習のクラスに入り、6年1学期、2学期の問題集を解き基礎概念の理解習得に集中し2学期の予習を途中までして夏休みが終わりました。
今まで通ってた数学の塾は、1回90分の授業を週3回で20万5千ウォン(2万5000円)でした。
そして、新しく通いだした個別学習型の塾も同じ条件で20万ウォン(2万円)です。
両方とも教材費は別途です。
授業料を比べたときは、
「以前の塾よりも安い!?」
と喜びましたが、以前の塾よりもたくさんの問題集(計算含む)を解くので、毎月かかる費用はほぼ同じくらいです。
塾ごとに経営・管理の仕方が全く違うため、通ってみないと分からないことがたくさんあり塾選びも一苦労します。
今通っている塾は、夫婦で運営しているのですが今まで通った塾の中で一番管理の仕方や学習指導が丁寧です。
メリットとデメリットは以下の通りです。
<メリット>
①無料で計算練習を見てくれる。
夏休みの最後の2週間は塾の先生の昼休みに塾に呼ばれ計算問題集を1冊終わらせました。
そして、計算の問題集を30分づつ解きどんなミスの傾向があるのか分析してその都度、細かく指導してくれました。
②細かい管理体制
講師と塾長の連絡、報告がきちんとしている。
まめに講師からの進捗の電話、そして月1回は塾長から電話が来て大まかなレビューと翌月の方向性や指導のポイントを事前に報告してくれます。
③子どもの学力が上がるサポートが万全
数学ができるようになるために各学生に合わせて指導、コーチングをしてくれるので、いい学習習慣が身につき学習効果がはっきり目に見えます。
<デメリット>
①塾長が教えるクラスはたった一つだけ
ベテランの塾長が直接授業を受けたくても、トップクラスの子たちしか入れません。
進度も早く、理解力、処理能力が高く、ひらめき力と思考力が抜群な学生たちが塾長のクラスで学ぶことができます。
②宿題が多い
塾で学んできた日の夜は、家に帰ってきてもプリントや、間違った問題を解く宿題に追われます。全科目の中で、数学に費やす時間が60%になるのはこのためです。
有名な塾、大型の塾、人気の塾がたくさんあります。
できる子は、どこへ行ってもできるのですが、そうでない場合は、親が塾のタイプを把握し、子どもの進捗を確認し方法を変えることも必要だと思いました。
韓国では数学、英語の塾に行き、家では家庭教師を雇っている場合もあります。
学習効果を高める方法
夏休みに、家でより効果的に学習できる方法をご紹介します。
より楽に勉強するには、学習環境を整え子供の脳を活性化させてあげることです。
以下のポイント5つです。
①脳の状態が一番いい、朝に勉強をしっかりさせます。
睡眠は最低でも7時間以上たっぷりとらせて午前中にしっかり学習する。
②適度の運動
脳を活性化させるために、運動は欠かせません。
散歩をしたり、テコンドーで体を鍛え、脳のドーパミンを増やし集中力を高める。
③遊ぶ
友達と外でかくれんぼ、サッカー、自転車に乗ったり友達と一緒に遊ぶ時間を持つことでストレス発散ができます。
④腸内環境を整える
第二の脳と言われる腸は脳と密接な関係があると科学的にも言われています。
腸内を鍛えることを意識し、食べ物にも気をつける努力をする。
⑤読書の時間を持つ
夜は読書の時間を持ち、毎日30分ずつ本を読みます。
静かなリビングでみんなで好きな本を読むと、心が落ち着きリラックスもできます。
間違え問題を集中的に
夏休みの時間をつかい、塾で間違った問題だけを重点を置きました。
下の写真は、半年間使った教材ですが、この中で間違った問題や、苦手な物だけを取り上げて復習しました。
間違いが多いパートは
「どこが分からないのか?」
「どこで間違いやすいのか?」
を把握し分析します。
下の教材は、今年に入って塾で勉強した6年生1学期の教材の一部です。
図形だけは5年生レベルの問題集を解きました。
同じ教材も2冊買い、一冊は塾で勉強しもう一つは家で使い間違った問題を重点的に解きました。
塾で先生が教えてくれて理解したと思っても・・・
時間を置いて解くとまだわかっていないことがよくあります。
そのため、何度も間違える問題は理解をしていないので似たような問題を解いたり、基礎に戻って何が分からないのかを探ります。
最近の問題集は、バーコード付きのものが増えていて解説動画が見れます。
ヨンジェウォンに入るには
韓国にはヨンジェウォン(英才院영재원)、またはヨンジェキョウユクウォン(英才教育院영재교육원)というのがあります。
ヨンジェとは、英才という意味です。
このヨンジェウォンは、各地域の大学や科学館、教育施設で募集をされ、政府が優秀な人材を発掘し育成する教育制度で前期、後期と分かれて募集が行われます。
英才的な才能を持つ学生(高学年~)は、学校や教師から推薦書をもらい、筆記試験を受け選抜されます。
合格した生徒のみ各機関で難易度のある思考力を伸ばす科学、数学の授業に参加でき仲間たちと課題に取り組み学びの幅を広げます。
ヨンジェウォンに集まる学生たちは思考力が高く、情報処理速度も速い優秀な生徒が集まる学び場なので、とても人気です。
そのためヨンジェウォンの試験対策の塾に通う子たちもいるほど。
うちの子の周りでも、夏休みに塾をかけ持ちしながら、ヨンジェウォンにも通っている子たちが数名いました。
うちの子の周りにもヨンジェウォンに通っている子が多いので、そのママたちから「受けたらどうですか?!」と誘われるのですが、「応募できる水準になればね・・」といつも返事をしています。(汗)
夏休み前にも、ヨンジェウォンに兄弟で通う友達から、「この教材をやってみて。」といろいろな問題集をもらいました。
<もらった教材3冊>
・최고수준 (最高水準チェゴスジュン)
・최강 (最強チェガン)
・필즈수학(必須数学ピルズスハク)
このレベルの問題集を解いて力をつけていくといいと言われたのですが、大人の私がみても難しい問題ばかりで、うなってしまうほどでした。
友人には「もらった教材をやってみたけど、うちの子には難しすぎて・・・」と嘆いたところ「1日1問でもいいから解いていかないと!」と、塾の先生と同じようなことを言われました。
難易度のある問題を、韓国語ではシムアムンジェ심화문제(深化問題)と言うのですが、思考力を必要とする問題を小学生のうちから解けるように鍛えていかないと数学では上位に上がれません。
この下の本も、ヨンジェウォンの試験対策でよく使われる教材です。
やってみましたがうちの子にはかなり難しく、なかなか手が行きません。
韓国では、勉強ができる子はいろいろな機関でのプログラムに参加し才能を伸ばすことが可能なのです。
最後に
今回は「韓国の小学生の夏休み!数学の学習で見えたうちの子(小6)の問題点」をご紹介しました。
韓国の小学生の夏休みの宿題や学習面、効果的な学習方法や才能がある子たちのためのヨンジェウォンの準備の仕方もお伝えしました。
韓国の小学校についてはこちらの記事でもご紹介しています。
「夏休みの体験学習」についてはこちらです。
高学年になると学習面の悩みがますます増えてきますが、2021年の夏休みはいろいろな気づきや発見が多かった夏休みでした。
英語と数学の勉強に追われる毎日ですが、すべての基本は国語力!
日ごろから本を読み、いろいろな経験をさせ強く生きる力を育てたいものです。
ひーりんぐまっぷが、みなさんの視野を広げる役に立てれば幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。