韓国の子育て・教育

【親子で韓国映画】不思議の国の数学者のレビューを紹介します




韓国在住ここまるです。

先日久々映画館に行き、映画を見てきました。

久々いい映画を見たので、レビューを書きます。

今回は、韓国のリアルな教育事情を映し出した映画『不思議の国の数学者』のレビューを紹介です。

韓国語のタイトルは、『이상한 나라의 수학자』

この映画は、2022年3月9日に公開され4月4日現在で51万人が見ている映画です。

この記事は、

☑韓国の教育事情を知りたい。

☑心温まるヒューマンドラマを見たい方。

☑家族で心温まる映画が見たい(高学年以上)

☑韓国を代表する名俳優と言えば「チェ・ミンシク(취민식)」でしょ。」と思う方。

にお勧めです。

<イハクソン役>
チェ ミンシク

<ハンジウ役>
キム ドンフィ


出典:나무위기




あらすじ

学問の自由を求めて脱北してきた天才数学者イ・ハクソンは、韓国の上位1%の学生しか入れない名門自立私立高校で身分を隠し警備員として働いている。

学校内の警備員として働き自分の仕事を全うし静かに暮らしていた。

学生たちにも存在は知られているも正体は誰も知られてはおらず、学生たちからは「(朝鮮)人民軍」というニックネームがつけられ怖がられる存在だった。

超名門高校に社会的配慮対象者として進学したハンジウの周りには裕福な子が多く、有名な塾に通う子ばかり。

母子家庭で育ち塾に通えず貧しいハンジウにとってスパルタ式の高校の授業について行けなくなっていた。

ある日、数学の成績が悪いことで担任の先生に呼ばれる。

「数学の成績が悪ければ希望がない。」

一般校に行けば1位になれるだろうから転校をしたらどうか?

と転校の宣告を受ける。

ハンジウは名門校に残りたい意志はあるものの、有名な塾に通う余裕もなく途方に暮れる。

そんなある日、寮に住む男子3人に夜に寮を抜け出しコンビニに行けと買い出しを任され、酒を買ってくるも戻ってきた際に夜間巡回していた警備員(イハクソン)に見つかり寮を1か月追い出されることになる。

寮を出てカバンを持って家に戻るが、母親を見たとたん悲しませたくない気持ちが強くなり結局「本を取りに来ただけだ。」と嘘をついてすぐに家を飛びだす。

雨に濡れながら行く場所もなく、学校に戻り校内で隠れているところを、警備員に見つかり警備室で休むことになる。

疲れてうとうとするハンジウの荷物から落ちた数学の難問プリントに気づく警備員。
そのプリントをハンジウが寝ている間にすべて解いてしまう

次の日、授業で宿題の答え合わせをするもプリントの答えが全問正解したことでハンジウは、すぐに警備員のところへ行き「おじさんがやったんでしょ?」としつこく追いかけまわす日々が続く。

そしてついに夜の警備室に訪問し、数学を学びたいと頼むと3つの条件を守ると言う約束で数学を学べる機会を得た

それ以降、夜になるとハンジウが訪問し、警備員から数学を教えてもらう日々が続く。

「答えを合わせることに欲を出すな。」

「答えを探すその過程が大切なんだ。それが数学だ。」

数学をほぼあきらめていたハンジウだった。

しかしハクソンの数学哲学に影響を受けだし、正しい答えを探すのではなく答えを出す過程や問題の意図を考え数学を解く意思が生まれてた。

二人の時間は、お互いの心の壁も崩し次第に距離を縮めていき「すでに自分はその時に死んだも同然だ」となんの欲も持たず生きて来た警備員は、ハンジウとの出会いで少しずつ生活に変化が生まれてくる。

そんなある日、警備員とハンジウが立ち寄ったある本屋で、ある男性が警備員をみて「天才数学者のイハクソン先輩!」と近寄り会話を始めた。

ハンジウはその時に初めて警備員の本名(イハクソン)を知り、彼が北朝鮮で天才数学者だった事実を知ってしまう。

そのころ、学校では成績にも大きく反映する「ピタゴラスアワード」が行われるためハンジウはその試験でいい成績を残すために全力を尽くす日々が続いていた。

試験当日、ハンジウの唯一の友人のパクポランが問題用紙を見たとたん、担任の紹介で通い出した塾に流出された試験問題だと分かり、試験を放棄しそのまま教室を出てしまう。

パクポランは、その事実をSNSで暴露するが、担任は試験問題の流出がバレては困るので、ハンジウが試験問題を流出した犯人にさせ転校させようとした。

ハンジウは、試験の前に入ってはいけない校内の部屋に忍び込み数学の論文をコピーしプレゼントだとハクソンに渡したことがあった。

ちょうどその時にその部屋から出てきたのをCCTVに撮られていたため、担任は試験問題流出と関連づけハンジウに圧力を与え試験問題を盗んだと追い込み、転校書類に印を押させた。

そのころテレビでは、天才数学者のイハクソンが話題になる番組を耳にするハンジウ。
イハクソンが脱北後大切な一人息子を亡くしたこともテレビを見て知る。

子どもを亡くし、生きる力を失っていたイハクソンだが、パクモランから試験問題の流出問題でハンジウが濡れ衣をきせられ転校を迫られていることを知り動き出す。

ピタゴラスアワードの授賞式の途中、突然イハクソンが現れ壇上でハンジウが試験問題を流出した犯人ではないと潔白を証明した。

イハクソンは壇上で、全学生たちの前で「北では軍・武器のために数学を利用し、南ではお金や就職のために数学を利用する国だった。」と語りながら自分の過去を打ち明け学生たちを驚かせた。

3年後・・

イハクソンは外国の数学研究所で静かに数学の問題を解いているところに、突然ハンジウが現れ劇的な再会をして終わる。

映画の予告編はこちらをどうぞ↓

이상한 나라의 수학자

レビュー

韓国を代表するチェミンシクの卓越された演技力が見どころの「不思議な国の数学者」を見ました。

脱北してきた天才数学者と、数学を放棄した男子高校生が人生を学び成長する様子を描いた素晴らしい映画でした。

うちの子の映画の感想

うちの子は、教室で高校生たちが熱心に数学の勉強をしている様子、天才数学者と高校生が勉強しているシーンでは、うちの子が主人公のイハクソンになっているような気がするほど身を乗り出して真剣に見入っていました。

映画が終わった後は「数学は勇気!」「大韓民国で1%の人しか入れない高校に入るにはどれだけ勉強したらいいの?」と興味深々でいろいろなことを聞いてきました。

映画を見て感想を聞くと、

「数学は暗記じゃなくて、考える力をつける科目だってことが分かった。」と言っていました。

私の映画の感想

イハクソンが脱北し韓国にきた自分の人生を語りながら、

「北朝鮮では武器を作るために数学を学び、ここではいい大学に入るため、たくさんお金を儲けるために数学を学ぶ。」

「私は、ただ数学を学問として学びたい」

という言葉がとても印象に残りました。

脱北後、一人息子を亡くし廃人のように静かに暮らす人生だったイ ハクソン。

何もかも失い孤独、寂しさを紛らわすように息子が好きだったイチゴ牛乳を飲みながら息子を思うシーンは、つい涙があふれてしまいました。

いままでの苦労や過去の傷が癒されないまま、静かに警備員として生きているイハクソンの前に、数学を学びたいとが現れ父親を亡くしたという話を聞き、自分の亡くなった息子を思い出しこのまま放ってはいけないと感じたはずです。

天才数学者が数学の美しさ、数学の本質を語るのを見ながら、ひとりの青年の人生が変わるその過程は出会う人が与える影響力の大きさを語っていました。

「分からない問題があったら、最後まであきらめるな。」

そして

「時には次の日にまたやってみようと取り組むその勇気が大切だ」

と言う言葉がとても印象的でした。

数学を教えるイハクソンが、一人の高校生との出会いをきっかけに人生が好転していく過程は、数学を解く過程と同じなのかもしれません。

廃人のように暮らしていたハクソンが、外国の研究所で自分の好きな数学に携わりなりたい自分に近づいていた様子をみて、とても心が温まりました。

「数学は勇気だ。」と教えたハクソンは、自分の人生と重ね合わせてそんな言葉を言ったのではないでしょうか。



最後に

ずっと書きたかった映画のレビューを書きました。

正直に言いますと、脱北者の主人公の韓国語はよく聞き取れませんでした。

同じハングルでも、韓国と北朝鮮ではアクセントや使う表現も違うようです。

今回、子どもと一緒に映画を見に行きましたが、数学を学ぶすべての学生、韓国の学校教育に興味がある人には是非見てもらいたいです。

また、数学という学問をテーマにしていますが、人生の教訓が詰まった心温まる映画なのでこの映画と出会えてよかったと大満足です。

韓国で暮らしながら街中に数学塾があふれていることが異常に感じてならない私が、この映画を見て、ますます現実と理想の差を感じる機会になりました。

「子どもにとってベストな教育環境とは?」

この答えがいまだに出ないまま、今の環境に巻き込まれています。

親になって初めてぶち当たる子育ての悩み。

形を変えてどんどん大きな波になって私に襲ってくる気分です。

【韓国の小学生】気になる夏休みの宿題は?小6の数学は復習が必須

いい点を取るために、良い就職先を探すために、いい大学に入るために学生全員が数学塾に通う韓国で見た「不思議の国の数学者」は、とても意味が深い映画だと思います。

不思議な国の数学者のOSTを、編曲し韓国の天才少年ピアニストのパク ジチャンの演奏でどうぞ↓

park jichan 파이송 편곡